2基同時の両家墓建立工事。愛媛県産大島石、竹原市内寺院墓地

三原市・竹原市を中心にお墓のお仕事をさせていただいております、安芸石材の倉橋です。竹原市内のお寺様墓地にて、お母様のご実家のお墓もあわせた2基同時の両家墓建立工事をご依頼いただきましたので、ご紹介いたします。

 

竹原市内寺院墓地 建立(2基・両家墓) 愛媛県産大島石・中国産白御影石

 

私の自宅の近くにある地域墓地にお墓をお持ちだったお客様からご相談をいただきました。数年前の災害で、その墓地の擁壁などの一部が壊れてしまったそうです。お墓は無事だったものの、そのままこの墓地にお墓を置いておくのも危険だろうということや、お墓も古くなってきたことから、この機会にと別の場所に墓地を求められてお墓を建立されることになり、お話をいただきました。その際、同じ地域墓地内にあったお母様のご実家様のお墓も一緒に建てたいとのことで、2基同時の建立となりました。

 

こちらはご提案した図面です。2基並べて建立するお墓の向かって左側、お施主様のお宅の新しいお墓です。今回購入された墓地は、数年前の水害の際に浸水したお墓もあったので、万が一の時にも納骨室に水が入らないような構造にしたいというご希望がありました。通常は一枚台(お墓の一番下の台石)が地面の高さになりますが、今回はその下にある土台となる納骨室部分を40cmほどどかなり高く設計して、万一の際に浸水してご遺骨が水浸しになってしまうことを防ぎます。2基とも同じ仕様でお作りすることになりました。

 

お墓の工事のようすです。向かって左側の墓地で、もともと石で区切られています。地面を締め固めて、これからここに基礎工事を行います。

 

お墓の基礎を施工して、その上に納骨室となる土台部分の壁石を設置していきます。高さのある壁石です。

 

手前側の壁石を据えました。この上に、お墓の一番下の一枚台を設置して、お墓を据えていきます。印はL字の金具で、石と石の継ぎ目に塗布した耐震ボンドと併用してしっかりと固定しています。昨今の耐震ボンドは性能が良いのでボンドだけでもかなり強度はありますが、長い年月耐久性ができるだけ高くなるようにこのように金具と併用します。

壁石の高さがあるので、金具は上下2か所で留めていますが、納骨室内に敷き詰めた真砂土で埋まって下の金具は見えなくなっています。真砂土は、あまりに納骨室が深くなりすぎると納骨がしづらく、また、万一の際にも高さがある方がご遺骨が濡れるのを防ぐことができるので、かさ上げのために入れています。お墓が完成すると見えなくなる部分ですが、大切なご遺骨を納めるとても重要な場所です。

 

四ツ石の土台を組んだら、その上に一枚台を乗せて、大台・上台・棹石を順に設置、水鉢や香炉なども設置して完成です。それぞれ、耐震ボンドを使用して設置しています。上台正面にはそれぞれのご家名、水鉢は家紋を入れています。

 

向かって左側のお墓です。「国産の石がいい」とご希望があり、愛媛県産の大島石をご案内しました。大島石は、お墓に使われる国産の石として、昔からこちらでも馴染みのある石です。色合いや石目が美しく、とても硬さのある良質の石として知られています。正面は、浄土真宗のお墓なので「倶会一処」としています。

 

向かって右手、お母様のご実家のお墓です。こちらは中国産の白御影石をお選びいただきました。お墓の形や寸法は全く同じです。こちらは墓誌なく、棹石の側面にお名前を彫っています。

 

墓誌の裏側には、「令和4年 竹原市○○の墓地より移す」と、以前お墓があった地域墓地の町名を記しました。将来お墓を継がれる次世代の方々にも、お墓の歴史を残すことができました。

 

両家のお墓が完成です。お客様には、「思った通りのお墓ができた」と大変喜んでいただけました。以前は、お母様のご実家のお墓は同じ墓地内でもとても高い場所にあったため、お参りが大変だったそうです。これからはお参りしやすく便利になるとことも喜んでくださいました。

実は今回のお墓作りでは、初めにお話しいただいてから、形を決めたり文字を決めたりするまでには、3年ほどかかりました。まずは色々なご要望に合わせて図面を作成し、じっくり時間をかけて何度も図面や文字の変更を重ね、その結果最終的にご満足いただけるものが完成し、ホッとしております。一軒のお墓を建てることもお客様にとってみれば一代行事となる大変なことですが、それを二軒分もあわせてご依頼いただき、大変ありがたく思うと同時に、どちらのお墓も大切に思われていることが伝わり、精一杯のお手伝いをさせていただきました。これからも二つのお墓を末永くお参りになるお手伝いができればと思います。

今回は、お母様のご実家のお墓も同時に建てられた、両家のお墓の建立をご紹介いたしました。今回の施工例はお母様のご実家でしたが、継ぐ方のいなくなった奥様のご実家をまとめたいというようなご相談も近年増えてきました。離れた場所にあるお墓を管理していくよりも、一か所にまとめることで今後も守っていきやすくなり、その方法も、二つのお墓を建てる方法以外に、ひとつのお墓にご遺骨を合同で納める方法もあります。ご要望にあわせてご提案いたしますので、気になる方はどうぞお気軽にご相談ください。